「トレヴィーゾの花」と呼ばれる野菜、トレヴィス、ラディッキオ
2010年 06月 02日
Radicchio Rosso di Treviso ラディッキオ・ロッソ・ディ・トレヴィーゾ
ミラノのスーパーマーケットにて
ヴェネツィア近くの「キオッジア(chioggia)産」と書かれて「radicchio rosso di chioggia」と表記されている場合もあります。
ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾは、ヴェーネト州(Veneto)で生まれたチコリーの一種です。
チコリーは、英語圏では「チコリー」フランス語圏では「アンディーヴ」と呼ばれている野菜ですが、まだ日本ではなじみが無い野菜のひとつと言えるかもしれません。
ミラノのスーパーマーケットにて
ラディッキオ・ロッソの見た目は赤いキャベツのようにも見えますが「キャベツはアブラナ科」なので、別の野菜に属します。
また、日本ではハツカダイコンが「ラディッシュ」と呼ばれているので、色々混在してしまいそうです。
ミラノのスーパーマーケットにて
「Tardivo IGP」と表記してある事もあります。
細長いプレコーチェ種(precoce)と1本1本がバラバラに広がっているタルディーヴォ種(tardivo)は、名前が違うだけで実は同じ種類です。
同じ種類なので、大体同じ時期に売られていますが、プレコーチェは早い時期から店に並びはじめます。
全く同じ種類の野菜がどうしてこんなに違う形になってしまうのでしょうか?
プレコーチェ(precoce)は「早熟」と言う意味があり、タルディーヴォ(tardivo)は「晩生」と言う意味があります。
つまり、プレコーチェは早くに収穫したものです。
では、遅くに収穫されるタルディーヴォは、どうしてこのような形になったのか・・・
ラディッキオは、夏に種まきをしタルディーヴォ(晩生)用に育てていきます。
寒くなってきた11月頃からプレコーチェ(早熟)は、収穫が始まります。
タルディーヴォ種は、11月に寒くなり霜が2回降りるのを待ってから畑から引き抜かれます。
収穫ではなく、畑から引き抜かれます。
この寒さがラディッキオの赤色をさらに鮮やかにします。
タルディーヴォ種が大変なのは、ここからです。
一度引き抜いたラディッキオの株を、水槽やプールや田んぼのように水をためた場所に差し込み育てます。
冷たい水に差し込まれた株の外側の葉は、しだいに枯れていきます。
それから、古いはの内側に新しい芯が育っていきます。
水に漬けられてから約10日間ほどしたら収穫されます。
水から収穫されてからがさらに大変です。
古くなった葉を、1枚1枚手でむいていき、最後に伸びた根をそぎ落とし綺麗に成形します。
これでやっと「タルディーヴォ」を名乗れ出荷が出来ます。
独特の形と美しい色を持っているので「トレヴィーゾの花(il fiore de Treviso:イル・フィオーレ・ディ・トレヴィーゾ)」とも呼ばれています。
このように大変な手間をかけたタルディーヴォ(晩生)種は、独特の甘みとほろ苦さと適度な歯ごたえが病みつきになる野菜です。
これらの手間と時間がかかるため、プレコーチェ種(早熟種)とタルディーヴォ(晩生種)では約10倍(時期によっては10倍以上)の値段差があります。
ラディッキオ・ロッソは日本ではあまり料理に使われないので、イタリアのレストランで見かけた調理をした例を紹介したいと思います。